『まいられぇ岡山』を楽しみ尽くす、岡山の寺社めぐりをお届けしている はなか です。
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今回は、笠岡市の高台に建つ「光明山 南昌院(こうみょうざん なんしょういん)」に参ります。
車で坂を上がっていくと、まず現れたのは「笠岡市 相生墓園」の入口でした。
開いた門の先には、木立に挟まれた坂道が続いています。
「あれ、お寺じゃなくて墓園に着いた?」と、少し戸惑いました。

そのまま中へ進んでいくと、墓園のなかに白い築地塀と瓦屋根の山門が見えてきました。
お寺に墓地があるというより、墓園の一角にお寺が建っているように見えました。
なぜこんな場所にお寺が建っているのか。それが、この日のいちばんの疑問になりました。

📘 まいられぇ岡山 掲載ページ:P38
この記事で分かること
今回も、実際に歩いてきた下見メモです。
境内マップ

山門をくぐると正面が本堂、その手前に仏足石、左手に白寿観音と藤棚があります。
南昌院のご本尊とご利益
ご本尊は薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)です。
本堂の前に掲示があり、「このお寺は」という書き出しで宗派とご本尊が紹介されていました。
高野山真言宗のお寺で、総本山は高野山 金剛峯寺です。
薬師瑠璃光如来は、病気平癒や健康長寿のご利益があるとされています。
本堂の前には木札も立っていて、ご真言が記されていました。
「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」と唱えて、手を合わせました。

墓園のなかに建つお寺は、どうしてこの場所にあるのでしょうか
答えは、区画整理でした。
南昌院はもともと、笠岡の市街地にあったお寺です。
昭和40年代の市街地区画整理にともない、昭和59年(1984年)に相生墓園内の現在地へ移転しました。
墓地も、お寺も、同じ区画整理で市街地から移されてきたということです。
開基は貞享年間(300年以上前)、弘俊(こうしゅん)和尚によると伝わります。近年の調査では、それよりさらに早い時期の創建と分かっているそうです。
慶長から寛永のころには「東照院」と称していたと伝わります。
日本画家・小野竹喬(おの ちっきょう)のご両親の菩提寺としても知られています。
竹喬は笠岡の生まれで、市内には笠岡市立竹喬美術館があります。
南昌院と観照院は、ともに遍照寺の末寺
境内を歩いていて、墓地の一角に「観照院 相生墓苑」という区画があるのに気づきました。
同じ日に参拝した観照院も、南昌院と同じ「光明山」を山号に冠するお寺です。
観照院の記事はこちら👉【笠岡市】観照院|10年に一度の双頭蓮と、御朱印・駐車場まとめ
これには理由がありました。
観照院の隣に立つ遍照寺多宝塔の説明板(笠岡市教育委員会)に、かつての遍照寺は「周囲に吉祥院・南昌院・西明院・観照院等の末寺を配する中本寺」だったと記されています。
南昌院と観照院は、ともに遍照寺の末寺でした。いわば、同じ親寺を持つ兄弟のようなお寺です。
おもしろいのは、そのあとの道が分かれたことです。
同じ笠岡駅前の区画整理で、三つの寺はそれぞれ別の道をたどりました。
親寺の遍照寺は、昭和52年に西の浜の埋立地へ移りました。
南昌院は、昭和59年に高台の墓苑へ移りました。
浜へ下りた寺と、高台へ上がった寺に分かれたことになります。
そして観照院だけが、墓地を移すにとどめて、もとの場所に残りました。

南昌院の見どころ
①山門に下がる、夏の風鈴
山門の軒には、ガラス製の風鈴が下がっていました。
ガラスには金魚や朝顔が描かれ、夏らしい涼やかな佇まいです。
訪ねたのは8月8日。風に合わせるようにゆらゆらと揺れていました。

見上げると、真っ青な空を背に、鬼瓦、鯱、そして跳ね上がるような飾り瓦。
夏の日差しを受けた瓦が、光を跳ね返して白く光っていました。
山門の扉は開かれ、その向こうには本堂が見えました。
墓園の入口で感じた戸惑いも、この門をくぐるころには少しずつほどけていきました。

山門の左右の柱には、札が掛かっていました。
左は「高野山真言宗 備中霊場 第六十六番 南昌院」。
右は「中国楽寿三十三観音霊場 第十一番札所」です。
備中霊場では、兄弟寺の観照院が第65番、南昌院が第66番。札所の番号まで隣どうしでした。
②お釈迦さまの足跡を刻んだ、仏足石
本堂の手前に仏足石があります。
真上からのぞくと、足の裏いっぱいに文様が金色で刻まれていました。
魚のような形に、車輪のような文様。よく見ると、ほかにもいろいろあります。
南昌院の公式サイトによると、「一頭三匹の魚紋」や法輪、法螺貝、修行を象徴するサンダルなどが刻まれているそうです。
一つひとつに意味があると知ると、写真を見返すのも楽しくなりました。
この仏足石は、スリランカで25年間続いた内戦の終結を受け、平和を祈念して建立されたものだそうです。
公式サイトによると、住職は現地で行われた慰霊祭に参加されたそうです。
多くの犠牲者や孤児たちに思いを寄せ、里親制度を通じた支援にもつなげたいという思いから、この仏足石を建立したと記されていました。
岡山県内では、岡山市の西大寺にも仏足石があります。
真庭市の木山寺では、訪問したときに仏足石をあしらった御朱印帳もありました。
同じ仏足石でも、お寺によってさまざまな形で親しまれているようです。
仏足石をあしらった御朱印帳は、木山寺の記事で紹介しています。👉【真庭市】木山寺|お寺と神社がひとつになった境内|ハートの窓と両参り

💡「仏足石(ぶっそくせき)」とは
境内の説明板では、仏足石について、お釈迦さまの足跡を石の面に刻み、信仰の対象としたものと紹介されています。
お釈迦さまの死後500年ほどは仏像が造られず、仏足石などが信仰の対象とされていたそうです。
また、お釈迦さまが各地を歩いて説法した、その足跡を象徴的に表したものとも記されていました。
③藤棚のそばに立つ、白寿観音
本堂の左手に、子どもとともに立つ観音さまがいらっしゃいます。
白寿観音です。
台座を含めると、隣の藤棚と同じくらいの高さがありました。3メートルほどでしょうか。
南昌院は、中国楽寿三十三観音霊場の第11番札所です。本堂には、こんな御詠歌が掲げられていました。
「相生の 峰に輝ろく 観音は 楽寿の徳を 与えまします」
地図では、南昌院の背後に広がる高台一帯に「相生」の地名が見られます。御詠歌に詠まれた「相生の峰」は、この土地の名を詠み込んだもののようです。

④本堂
本堂の扁額には金文字で「光明山」とありました。

本堂の格子戸には、御朱印やまいられぇスタンプを希望する場合の案内があり、右手の建物の玄関脇にあるインターホンを押すよう書かれていました。
案内どおりに右手の建物のインターホンを押してみると、お寺の方が出てきてくださいました。
そのあと本堂へ上がらせていただき、なかの授与所で御朱印をお願いしました。

そのほかの見どころ
地蔵坐像
本堂の手前に、「法界」と刻まれた石塔の上に地蔵坐像をおさめた小さな祠があります。

宝篋印塔
境内の一角には宝篋印塔(ほうきょういんとう)が立ち、脇には「永代供養」と刻まれた石柱が添えられていました。

南昌院の年間行事
| 毎月28日 10時から | 護摩祈願。どなたでも参加でき、見学のみでも構わないと案内されています。護摩木は1本300円から |
| 春・秋の彼岸 | お彼岸まつり。護摩祈祷のほか、写経体験やオリジナル御朱印作りができます |
日程や内容は変更になる場合があります。お出かけ前にご確認ください。
護摩木には名前と願い事を書き、護摩の火のなかで一本ずつ読み上げてから祈願していただけるそうです。
申し込んだ護摩木や祈祷札は、毎月28日にご住職が修法されると掲示にありました。
参拝メモ
初めての参拝だったので、御朱印はまずベーシックなものをお願いしました。
書いていただいているあいだ、そばに置かれていたファイルを何気なくめくってみると、そこには御朱印の見本がずらり。
「こんなにあるの!?」と驚くほど種類が多く、四季折々の意匠で、その数はなんと約50種類だそうです。
先に知っていたら、きっともっと迷っていました😳

授与所に並んでいたもの
本堂のなかの授与所には、御朱印の見本や授与品が並んでいました。

毎月28日の護摩行に参加した方だけがいただける、不動明王の特別御朱印もありました。
| 御朱印 | 全種500円。直書きしていただけます。四季折々の意匠で約50種類。護摩行の参加者のみいただける特別御朱印(不動明王)もあります |
| 受付方法 | 本堂の右手建物の玄関脇にあるインターホンを押して声をかけます |
| 授与品 | 納経帳2,000円(購入するとデザイン御朱印1枚つき)/お地蔵さま色紙1,000円/念珠入れ800円/交通安全御守500円/合格ハガキ300円/瑠璃光茶(薬師香)500円 |
| 所要時間 | 境内をゆっくり歩いて30分ほどでした |
| 駐車場 | お寺のすぐ横、相生墓園園内図看板奥に20台ほど停められます |
| 公式サイト | http://www.nanshoin.com/ |
※御朱印の納経料・授与品の金額・受付時間などは変更になる場合があります。参拝前にご確認ください。

- 車での参拝をおすすめします。南昌院は高台にあり、上るまでの坂がきつめです。今回は車で駐車場まで上がりました
- 御朱印・まいられぇスタンプは、本堂右手の建物の玄関脇にあるインターホンで声をかけてください
南昌院へのアクセス
🚗 車:JR笠岡駅から約5分です。お寺のすぐ横に駐車場があり、20台ほど停められます。
🚃 電車:JR山陽本線 笠岡駅が最寄りです。ただし高台へ上る坂がきついため、駅からは車かタクシーをおすすめします。
📍 住所:岡山県笠岡市笠岡6002
☎ 電話:0865-62-3978
迎えてくれたのは
境内を歩いていると、本堂の軒下に黒い柴犬の姿がありました。
わたしたちがいるあいだは一度も吠えず、最初はそこにいることにも気づかないほどでした。
近づいてみると、とても人懐っこく、麻呂の形をした眉がかわいらしい子です。
撫でさせてもらうと、うれしそうな様子を見せてくれて、夫とふたりで「かわいい」「かわいい」と連呼してしまいました。
犬小屋には「まこちゃん」と書かれた手作りの札が♡
どうやら、この子のお名前は「まこちゃん」のようです🤭

着いたときは、「お寺ではなく墓園に着いたのかな」と思いました。
けれど、その先へ進むと、墓園のなかに南昌院がありました。
お寺は、区画整理で元の場所を離れ、この墓園へ移ってきました。
山門には夏の風鈴が下がり、御詠歌にはこの土地の「相生」という名が詠まれ、本堂の軒下では、人懐っこい麻呂眉のまこちゃんが迎えてくれました。
移ってきた場所が、いつのまにか居場所になっている。そういうお寺でした。
👉 静かに手を合わせたい方、霊場をめぐっている方におすすめです。護摩を見てみたい方は、毎月28日の午前10時に合わせて訪ねてみてください。
※この記事の情報は訪問時(2026年8月)のものです。


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