『まいられぇ岡山』を楽しみ尽くす、岡山の寺社めぐりをお届けしている はなか です。
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今回ご紹介するのは、岡山県真庭市の山上に佇む木山寺(きやまじ)と、すぐ隣に鎮座する木山神社 奥宮です。
この二社寺は、もともとひとつの「木山宮」だった神仏習合の名残で、山上で両参りができる珍しいお参りスポット。
お寺なのに鳥居がある境内や、四季を映すハートの窓、ご縁がくるくる回る螺旋のお賽銭箱、そして木山神社奥宮へ続く神秘的な参道など、見どころがたくさんあります。
今回は紫陽花や睡蓮が彩る初夏に訪れ、木山寺と木山神社奥宮の両参りを楽しんできました。
まいられぇ岡山 掲載ページ:P50(真庭市)

標高430mの霊峰に建ち、樹齢を重ねた杉や古木が生い茂る境内は、来るだけで空気が変わる感覚がします。
この記事を開いたあなたは、たぶんこんなことが気になっているのではないでしょうか。
そんな疑問にお答えしながら、山上の両参りの見どころをご紹介します。
木山寺と木山神社奥宮、山上で「両参り」
木山寺を訪れたら、ぜひ一緒にお参りしたいのが隣に鎮座する木山神社奥宮です。
実はこの二社寺、もともとは神仏習合の「木山宮」として一体の信仰を集めていました。
明治の神仏分離によって寺と神社に分かれ、さらに昭和37年に木山神社は麓へ遷座します。
現在は麓に本宮(里宮)、山上に奥宮が残されており、木山寺と奥宮を徒歩数分で巡る「両参り」が楽しめます。
お寺と神社、ふたつの祈りを一度にいただけるのが木山ならではの魅力です。

山門へ続く道と弁天池

入口で迎えてくれるのは、真っ赤な鳥居です。
扁額には「木山牛頭天王(きやまごずてんのう)」「木山善覚稲荷」の文字。
お寺なのに鳥居、しかも祀られているのは牛頭天王(ごずてんのう)とお稲荷さん。木山寺が神仏習合のお寺であることが、入口から伝わってきます。
鳥居の先には、池に架かる「成就(じょうじゅ)橋」。
この橋を渡り、石段をのぼって本堂へと向かいます。
雨に濡れた朱色と、足元の青い紫陽花。霧がかった空気も相まって、はじまりから幻想的でした🌿
弁天池の紫陽花と睡蓮

成就橋の隣には、弁才天へと続くもう一つの橋。
弁天池に、二つの橋が並んでいます。
朱塗りの橋を渡った先、池の中に建つのが弁天堂(弁才天)です。鳥居の扁額には「弁才天」の文字。
6月の弁天池は、ちょうど花の季節でした。
弁天堂のまわりには青い紫陽花が咲き、水面には睡蓮が点々と浮かびます。雨に濡れた朱色と相まって、花の競演でした。
しっとり濡れた朱色に、霞む緑。弁天さまには、雨がよく似合います🌿
木山寺では、例年6月下旬〜7月上旬ごろに「紫陽花まつり」も開かれ、約700本の紫陽花が境内を彩るそうです。
花の季節をねらって訪れると、御朱印も紫陽花の装いに変わります(後述)。
本堂は「仏」、鎮守殿は「神」──神仏習合のかたち

木山寺の境内は、仏さまを祀る本堂と、神さまを祀る鎮守殿に分かれています。
鎮守殿は神社建築の様式で、見上げると、彫刻の美しい立派な社殿です。
軒を飾る彫り物は圧巻でした。天女や鳳凰、雲などをかたどった細工が白木に深く彫り込まれていて、これほど緻密な彫刻はなかなか見られません。
ひとつの境内に、お寺と神社が同居する――まさに神仏習合の形を今に残す、貴重な空間です。
ご本尊とご利益|神さまは、仏さまの化身
では、本堂の仏さまと、鎮守殿の神さまは、どんな関係なのでしょうか。
木山寺のご本尊は、薬師瑠璃光如来と十一面観世音菩薩の二尊です。
薬師如来は「医王」とも呼ばれ、あらゆる衆生の病気や迷いを救う仏さま。
十一面観音は十一の顔で四方を見守り、あらゆる苦難から人々を救うとされます。
じつは、鎮守殿に祀られる木山牛頭天王は薬師如来の化身、善覚稲荷大明神は十一面観音の化身とされています。
仏さまが神さまの姿を借りて、この地を守る――本堂と鎮守殿が向き合う木山寺は、その考え方をそのまま形にした場所なのです。
ご利益は、無病息災・商売繁盛・五穀豊穣・縁結び・交通安全など多岐にわたります。
木山寺はどんなお寺? 1200年つづく山頂の名刹
木山寺の創建は弘仁6年(815年)。真言宗の宗祖・弘法大師空海による開基と伝えられています。
往古は「木山宮」として尊ばれ、仁寿年間(9世紀中頃)には文徳天皇の勅願寺となりました。
應永18年(1411年)には赤松義則が一山を寺領として寄進。以来、毛利・宇喜多・小早川といった戦国武将や、江戸時代には森・三浦など近隣の大名からも信仰を集めてきました。
正式には「高野山真言宗別格本山 感神院 木山寺」と称します。
注目スポット① 四季を切り取る「ハートの窓」

本堂のなかには、ハートの形をした窓があります。
窓の向こうには四季折々の景色が浮かび上がり、フォトスポットとして親しまれています。
とくに人気なのは、紅葉の秋。
ハート型の陽だまりが床に映る14時頃がベストタイミングなのだそうです。
じつは私も、インスタでこの陽だまりを見て楽しみにしていました。
ただ、この日はあいにくの雨。床にハートの陽だまりは現れず、そこは少し残念でした。
それでも、ハートの額縁の向こうに広がる青もみじと、雨に濡れたお社は、しっとりとして美しく、これはこれで雨の日ならではの一枚になりました🌿
本堂の拝観は9時から16時までです。
注目スポット② ご縁がくるくる「螺旋のお賽銭箱」
このお賽銭箱、ただ者ではありません。
1円玉から500円玉まで、硬貨を入れると、倒れることなく、美しい螺旋を描いてくるくると回りながら落ちていきます。
案内板には、こんな願いが添えられていました。
- ご縁がくるくるやってくる「円満成就」
- お金回りがよくなる「金運」
- 迷いを落として「心願成就」
- 巡り巡ってやってくる「良縁成就」
- 厄を落として「厄除け」
実際に硬貨を入れてみると、本当にきれいな螺旋を描いてくるくる。これはご利益がありそうです😆
子どもも大人も、つい何枚も入れたくなる楽しい仕掛けでした。
くるくる回る様子は、動画でどうぞ。
注目スポット③ 幸運の使い「白へび」に会える

木山寺には、幸運を招くといわれる白へびがいます。
じつは私、これもひそかに楽しみにしていました。
でも、展示ケースをのぞいても、どこにいるのか分からず……。
「今日はお休みかな?」
そう思って、その日はあきらめてしまったのです。
ところが、です。
家に帰って、この記事のために写真を見返していたら――いました。
ケースの中の流木に、白い体を巻きつけた白へび。枝だと思っていて、現地ではまったく気づけなかった。
とほほ。しっかりしろ自分!!
しかも、よく見ると、こちらをじっと見ているではありませんか。
ずっとそこにいて、目も合っていたのに、現地では気づかないなんて。白へびさんに、ちょっと申し訳ない気持ちです🐍
次に訪れるときは、今度こそ、ちゃんとご挨拶しようと思います。
注目スポット④ 涼を呼ぶ「風鈴」(夏)
夏に訪れると、境内のあちこちに、色とりどりの風鈴が飾られています。
とくに人気のフォトスポットは、寺務所と本堂をつなぐ渡り廊下の風鈴です。
ここの風鈴は季節の御朱印の絵柄にもなっていて、撮影スポットとして親しまれています。
写真を撮りはじめると、ふわりと風が吹いて、ちりんちりんと澄んだ音が響きました。
まるで歓迎されているようで、思いがけず癒されました。
雨に濡れた風鈴も、しっとりとした風情があって、これは新しい発見でした。
お手水にも風鈴が飾られていて、見上げると涼やか。山上を渡る風に、軒下の風鈴がやさしく揺れます。
本堂横の風鈴は、音と揺れを動画でもどうぞ。
境内のそのほかの見どころ

広い境内には、まだまだ見どころが点在しています。
まずは、本堂のなかにある弘法大師さまの法具、五鈷杵(ごこしょ)。両端が五つに分かれたこの法具は、撫でると諸悪をはらってくれるのだそうで、ここぞとばかりに撫でさせていただきました😄
石垣を背にして佇むのは、水子地蔵。たくさんの小さなお地蔵さまが寄り添い、赤い前掛けが雨に映えていました。
重厚な山門や、青もみじに包まれた鐘楼堂も、見ごたえがあります。
ほかにも、大師堂や客殿、本坊、古車稲荷大明神の狛狐など、見どころは尽きません。
急がず、ゆっくり歩いて回りたい広さでした。
お守り・授与品

授与所には、肌守りや身体健全、交通安全、安産守り、勝守り、学業守りなど、種類豊富なお守りが並びます。
「花のように美しく健やかに」と書かれた女の子のお守りなど、贈りものにしたくなる授与品もありました。
木山寺ならではなのが、白蛇おみくじ(一体1000円)。
幸運の使い・白へびにちなんだおみくじで、金色の玉がころんとかわいらしいです。
善覚稲荷大明神のお使い、白いお狐さまの置物(1500円)も並んでいました。
お守りは500円から。御朱印帳や絵馬も揃っています。
木山寺の御朱印・御朱印帳

今回いただいたのは、通常の御朱印です。
「奉拝 大悲閣 木山寺」と墨書された、お寺らしい一枚。御朱印料は500円でした。
「大悲閣」とは、慈悲深い観音さまをお祀りするお堂のこと。木山寺のご本尊・十一面観音にちなんだ言葉です。
授与所には、季節の御朱印もありました。
私が訪れた6月は「梅雨の装い」。紫陽花が描かれた御朱印に、自分でスタンプを組み合わせて、世界にひとつのデザインが楽しめます。
こちらの季節の御朱印は800円でした。
御朱印帳も素敵で、仏さまの足の裏「仏足(ぶっそく)」をかたどった珍しいデザインの一冊(2500円)が目を引きました。
季節ごとに表情が変わるので、何度でも訪れたくなります。
霧に包まれた神域へ──木山神社 奥宮も両参り

木山寺の参拝を終えたあと、せっかくなので木山神社奥宮へ向かいました。
木山寺から歩いてすぐ。
ところが、この日はあいにくの雨と深い霧でした。
木山寺側から入ると、霧の向こうに鳥居と拝殿がうっすらと浮かび上がります。
人の気配はなく、聞こえるのは自分の足音と雨音だけ。
幻想的といえば幻想的なのですが、正直なところ、それを通り越して少し怖いくらいでした😅

その入口で迎えてくれたのが、この狛犬さまです。
長い年月で苔むしたお姿に、赤いよだれかけ。
雨に濡れて、晴れの日には見られない迫力と風格をたたえていました。
気づくと、霧の中でしばらくの間あらゆる角度から見上げ、何枚も写真を撮ってしまっていました。

拝殿をはさんで反対側にまわると、麓へと下る石段の参道がありました。
参道を下った先には、随身門が建っています。霧のなかに見えたその姿は、いかにも由緒を感じさせるものでした。
杉木立のあいだの石段は、数メートル先も白く霞み、まるで別世界へ続いているようでした。
奥宮は、かつての木山神社の本殿
昭和37年に神社が麓へ遷座するまで、この奥宮が木山神社の本殿でした。
現在の本殿は天正8年(1580年)の建立で、岡山県の重要文化財に指定されています。
随身門は真庭市の重要文化財。門のなかには、岡山県の重要文化財に指定された門客人神像が安置されているそうです。
奥宮に祀られているのは、木山寺の鎮守神と同じ牛頭天王(須佐之男命)。
お寺の鎮守殿と、山上の奥宮。同じ神さまが、かたちを変えて山の上に息づいていました。
霧の日は少し心細くもありましたが、そのぶん普段は味わえない空気に包まれた参拝になりました。
次はぜひ晴れた日に訪れて、霊峰・木山からの景色や、奥宮の違った表情を見てみたいと思います。
麓の木山神社本宮(里宮)については、別記事でくわしくご紹介します。
参拝メモ
| 御朱印 | 受付8:00〜17:00/通常500円。梅雨など季節限定のハンコ御朱印は800円 |
| 所要時間 | 木山寺+奥宮の両参りで約60分 |
| 参詣時間 | 8:00〜17:00(本堂拝観・御祈祷 9:00〜16:00) |
| 休日 | 年中無休(御祈祷は毎日) |
| 駐車場 | 木山寺駐車場(弁天池の寺院側・約80台)。奥宮参拝もここに駐車可。そこから奥宮まで約100m |
| 電話 / FAX | 0867-52-0377 / 0867-52-0862 |
| 公式HP | https://kiyamaji.jp/ |
| 公式Instagram | @kiyamaji_temple |
※御朱印の受付時間・初穂料・駐車場などの情報は訪問時のものです。変更になる場合がありますので、お出かけ前にご確認ください。
木山寺の札所
- 中国三十三観音霊場 第4番
- 山陽花の寺二十四か寺 第10番
- 高野山真言宗 美作八十八箇所霊場 第34番
- 百八観音霊場 第6番
アクセス
🚗 車でのアクセス
中国自動車道・落合ICから約7km(約15分)。
※細い山道が続くので、必ず「木山寺」または住所「真庭市木山1212」でナビをセットしてください(奥宮も同じ住所で到着します)。
🚃 電車・バスでのアクセス
JR姫新線・美作落合駅からタクシーで約20分。
📍 住所:岡山県真庭市木山1212
木山寺へ向かう前に…実は道に迷いました
今回は麓の木山神社(本宮)から向かったのですが、「すぐそこだろう」とナビを設定せずに出発したのが失敗でした。
山道に入ると同じような景色が続き、「本当に合っているのかな?」と不安に。
案の定、道を間違えてしまい、慌ててナビを設定したのですが、今度は車一台がやっと通れるような細い山道へ案内されてしまいました。
「本当にこの道で大丈夫?」
夫と何度も確認しながら進みましたが、周囲には民家もなく、同じような景色ばかり。
まるで違う世界に迷い込んだような気分になりました。
それでも無事に木山寺へ到着したときは、心底ほっとしました。
私のようにナビなしで山へ向かう方は少ないと思いますが😅
これから参拝される方は最初から「木山寺」または住所「真庭市木山1212」でナビを設定することをおすすめします。
振り返ってみれば、このちょっとした冒険も山上の両参りならではの思い出です。
真庭の山上で、お寺と神社の両参りを
お寺なのに鳥居がある本堂と鎮守殿、ご縁がくるくる回る螺旋のお賽銭箱、四季を映すハートの窓、幸運の白へび、そして夏を彩る風鈴。
すぐ隣には県重文の社殿が残る木山神社奥宮。
祈りと遊び心が同居する、何度でも訪れたくなる山上の名刹でした。
道に迷った時間さえ、今ではいい思い出です(次回はちゃんとナビを入れます😅)。
今回は紫陽花と睡蓮が彩る初夏に訪れましたが、木山寺は紅葉や雪景色も美しいことで知られています。
次は晴れた秋の日に、ハートの窓から紅葉を眺めてみたいと思いました。



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